シンポジウム3 講演1
大腸内視鏡画像にAI画像処理を応用したリアルタイム内視鏡画像診断支援システムの開発
演者:
山田 真善(国立がん研究センター中央病院 内視鏡科/国立がん研究センター研究所 がん分子修飾制御学分野)
斎藤 豊(国立がん研究センター中央病院 内視鏡科)
上條 憲一(日本電気株式会社 未来都市づくり推進本部)
今岡 仁(日本電気株式会社 バイオメトリクス研究所)
髙橋 郁磨(日本電気株式会社 未来都市づくり推進本部)
近藤 裕子(国立がん研究センター研究所 がん分子修飾制御学分野)
山田 滋美(国立がん研究センター研究所 がん分子修飾制御学分野)
浜本 隆二(国立がん研究センター研究所 がん分子修飾制御学分野)
[抄録]
【目的】
大腸内視鏡検査中に自動的に大腸前がん病変および早期大腸癌の特徴をリアルタイムで検出するAIシステムの開発研究を目的とし,国立がん研究センターと日本電気株式会社(NEC)が共同でプロトタイプを開発した.
【方法】
深層学習のアルゴリズムを用い,約5000病変の内視鏡画像を教師あり学習させた.このシステムは,AIが内視鏡装置から得られる動画像を網羅的に解析し大腸前がん病変および早期大腸癌の異常を検出し,リアルタイムに内視鏡医に知らせることで病変の発見を支援する.
【成績】
AIは4840枚の評価セットを106.0秒で解析した(21.9ミリ秒/枚).その隆起型病変検知に対する感度と特異度はそれぞれ98%と99%であった.この評価セットの一部を用い内視鏡医12名で読影試験を行った結果,人間の感度と特異度の中央値はそれぞれ87%と96%であった.
【結論】
本AIシステムが大腸内視鏡検査中に内視鏡医の病変発見をリアルタイムに支援する可能性が示唆された.