特別講演

特別講演 1

7月26日(木)14:30-15:20 A会場(講堂)

演者:
百生  敦(東北大学 多元物質科学研究所)

演題名:
実用化を目指すX線位相イメージング

座長:
工藤 博幸(筑波大学)

[抄録]
X線の波としての性質,すなわちX線位相コントラストを活用すると,従来のX線透視画像と大きく異なる高感度化への展開が期待される.主に軽元素で構成される軟組織によるX線の減衰は少なく,従来法では十分なコントラストが得られないが,X線位相イメージングではその撮影が可能になってくるからである.X線位相コントラスト生成技術は,X線光学分野において考案され,幾つかの方式が実証されている.特に,X線透過格子を用いるX線Talbot-Lau干渉計として知られる方式は,病院で使われているX線源や画像検出器を用いて装置化できるため,その実用化が大いに期待されている.講演者は,この十数年,この方式による医用画像機器や非破壊検査機器の開発を続けてきた.軟骨が可視化できることに基づく関節リウマチの早期診断を狙った装置は,現在大学病院において臨床研究に供されている.講演では,その原理から実用化の現状まで,できるだけ平易に解説する.

特別講演 2

7月26日(木)15:20-16:10 A会場(講堂)

演者:
東山 哲也(名古屋大学トラスフォーマティブ生命分子研究所/名古屋大学大学院理学研究科)

演題名:
顕微鏡イメージングで植物のメカニズムを視る

座長:
尾川 浩一(法政大学)

[抄録]
動かないように思える植物も,顕微鏡を通して覗いてみると,実にダイナミックに動いています.特に花の中では,花粉から伸びだした細い管である「花粉管」が,正確に卵のある分まで到達し,泳げない2つの精細胞を「重複受精」させます.私たちの研究から,初めてその様子が生きたまま映像として捉えられました.そして顕微鏡下での様々なライブセル解析から,花粉管誘引などの現象を支える生理活性分子が,鍵分子として見つかってきました.現在は,マイクロ流体デバイスを用いて,当研究所オリジナルの蛍光分子を使った1分子レベルでの詳細なイメージングや,組織丸ごとを使った深部イメージングなどにチャレンジしています.本講演では,植物の生殖を中心として,顕微鏡イメージングで見えてきた植物の未知の世界を紹介します.どんな逆境にも負けず,あの手この手で生殖を達成する,植物の真の姿をお楽しみ下さい.